源流釣行
緑に包まれた谷を、水は絶えることなく流れています。流れの中に魚が棲んでいるというのはいいですね。
渓流釣りには数多くのジャンルがありますが、僕が主にご案内するのは、源流のネイティブです。テンカラ、ルアー、フライフィッシングのお客様を歓迎いたします。
釣りをやってきたがもっと源流で釣りをしてみたい、あるいは登山や沢登りをやってきたが釣りも始めてみたい、という方に主にご利用頂いております。
近郊の渓流ではなく、みずからの足で源流深くに分け入ります。釣り以上に山登り、そして沢登りの知識や技術が不可欠です。源流では、魚は竿で釣るというより、足で稼ぐ感じです。
無邪気な源流イワナとの朗らかな駆け引き、焚火、酒、そして語らい。山菜やキノコなど季節の恵みも交え、慎ましく穏やかな沢旅をご案内いたします。
「テンカラ」
テンポよく次々と現れるポイントに、毛鉤を打ち込んでいきます。沢登りとの相性は一番いいようで、行動しながら釣りたいときはテンカラが一番です。
毛鉤は浮かべても沈めてもどちらでもよいと思います。それぞれの趣があります。
浮かべたときは視覚で楽しめます。エルクヘアカディスやパラシュートなどの定番フライを使います。しかしテンカラはその構造ゆえに、ナチュラルに流せる時間が短いのが最大の難点です。ドライフライではこれが顕著で、常にわずかにドラグがかかります。
毛鉤を沈めたときがテンカラの本領です。言うなれば毛鉤を流しながらの脈釣りになります。ビーズヘッドやヘアズイヤーニンフ、アント、逆さ毛鉤などを使います。
静かに日陰側からアプローチすること、立ち位置を手前に低く取ること、そしてその日のバイトレーンを短時間で把握することなどが大切になります。ラインやハリスを長く取ればドリフトの時間を得られるため有利な場面も多くありますが、流れの早い山岳渓流ですので扱いには苦労することになります。
ブッシュの多い場面での竿の振り方にも様々なパターンがあります。岩魚は障害物の下に棲んでいることが多いので、これは練習あるのみです。
人の気配は魚にすぐに伝わりますので、背中に荷物を背負って歩きながらの素早いキャスティングも重要です。
仕掛けはシンプルですがとても奥が深い釣りです。
ポイントで粘るということはよほどでなければありません。沢登りをしながらなのでポイントは無数にあります。手返しのよさ、チャンスの多さがテンカラの最大の利点です。
「ルアー」
テンカラと同じく早いテンポで釣りが行えます。なのでテンカラと同時に行動できます。またテンカラとはポイントが異なるため、交代しながら前を歩くことができます。
まずはテンカラで試し、上層はフローティングミノーで探り、ボトムはスプーンで呼んでみます。大淵ではディープシンキングミノーが有効です。ルアーで呼んでからテンカラでバイトを導くパターンもあります。シャクるようなアクションが有効な日もあります。ぜひ6月は大物を狙ってみてください。
最近ではベイトリールも流行っているようです。ショートレンジでの手返しの良さが魅力ですね。トリプルフックは魚を痛めるので使いません。シングルフックのみの利用とさせていただきます。ツアーのみが釣れる日、逆にフライだけ釣れてルアーは全く釣れない日があります。なぜなんですかね。
「フライ」
上手になると源流でもテンポよく釣り上がれます。やはり水面のドライフライにこだわるべきでしょう。ロングリーダーはかなり経験が必要ですが、非常に有効です。魚を釣る以前に、思い通りにナチュラルにフライをドリフトさせるだけでも難しくて楽しいです。本流のヤマメのように難しい駆け引きになることは少ないですが、各種のフライを用意しておくことが釣果につながるのは源流でも同じです。水面に興味を持つ魚が中心になるので大物は釣れにくいですが、楽しさは一番かもしれません。フライの弱点は高巻きの際、ロッドを仕舞ったり出したりするのにやや時間がかかることです。私は4番のロッドを主に使います。3番だと飛距離や取り込みの際、パワー不足に感じる場面があります。
「源流」
渓流釣り愛好者は非常に多く、林道周辺あるいは日帰りで行ける程度の奥深さの渓流では先行者も多く、納得のいく釣りができる日は多くありません。
通常の釣り人が引き返してしまうような難所となる滝の上、あるいは山一つ越えないと行けないような人里離れた山の奥から源流は始まるとも言えます。ときには登山道を丸一日歩いたり、半日藪漕ぎしたりということもあります。
また渓流の遡行には、滝の登攀、釜の泳ぎ、ヘツリ、高巻き、雪渓の処理、天候判断など、沢登りの技術が不可欠です。これにはロープを用いたクライミングの素養があることが望ましいです。実際のところ、それらの苦労に耐えて源流に立つことが最大の核心であり、それに続く釣りはほとんど悦楽と言えます。
沢の中で泊まる生活には、タープの張り方、焚火の起こし方、米の炊き方など学ぶべきことがたくさんあります。体力、判断力以外に生活能力が問われます。
釣り方はお客様の普段行われているやり方を尊重いたします。ただし資源の保護に反するような行為はお断りしております。テンカラ、ルアーはお教えすることができます。
山頂まで行ける沢登りも好きですが、魚止めまででゆったり釣り遊ぶのもいいですね。
経験豊富なガイドが、皆様の一生の思い出に残る釣行をサポートいたします。