アイスクライミングには基本となる「型」があります。
アイスクライミングとフリークライミングの動作を比較した時の最大の違いは、フリークライミングは常にホールドを限定されますが、アイスクライミングは任意の場所にハンドホールド及びフットホールドを設定できるという点です。
つまり、どこにでもアックスを決めることができ、どこにでも足を置くことができます。
一見すると似ているようですが、体の動きに関して実は関連性はほとんどないような気がします。
どこでも任意にホールドを作れますが、しかし手足を決める場所に一貫性を欠いてしまうと、手足の位置が左右バラバラになります。
そうなると膝関節の高さが異なることで腰が氷から離れてしまい、片方の膝が氷に当たって窮屈な姿勢になり、肩が氷から離れることで、良いスイングができなくなります。
腰が氷から離れている状態では、アックスの石突側が氷から離れてしまうので、スイングの円心力が氷に伝わりません。
これを逆に言えば、ある一定の「型」さえ習得してしまえばムーブは非常に簡単です。
というか90度までのアイスクライミングであれば、フリークライミングで言うところのムーブというものは存在しません。
単純に持久力があるかどうかであり、あとは傾斜とラインを読む目、そして氷質の判断がカギになります。
なので足の置き方にごまかしが効きませんので、講習には最適だと考えています。
氷の表面に凹凸があればあるほどフットホールドがあちこちに散在しているために「型」は乱れ、易しい岩登り的な感じでなんとなく登れてしまう、登れた気になってしまうものです。
これでは公式が当てはめられない数学の練習問題のようなもので、登る者に「型」を染み込ませにくいと言えます。
アイスクライミングは一年で三ヶ月程度しかできません。
自然の中の、自然な形状の氷で行われる、ちゃんとした講習会は案外と多くないような気がします。
YouTubeを見ればできたような気にもなりますが、実際やってみるとやはりなかなか大変ですしとにかくケガの多いアクティビティです。
拙い私の経験ですが、伝えられることも少しはありそうなので、こんな体裁の講習会をぼちぼちと続けています。
皆さん非常に熱心なので、いつも暗くなる時間までやってくれますのでうれしい限りです。
米子不動周辺
集合時間(尾白川の場合)
アックスに遠心力を伝えることでスイングの軌道がブレなくなること
クランポンが効いたと感じる時の踵関節の角度、内傾角度について
氷質の判断基準(硬さ、脆さ、湿度と気温の影響について)
乾いた氷、濡れた氷、硬い氷、軟らかい氷、脆い氷の違い
「習うより慣れろ」です。私もそうでした。
しかし歳を取ると、「慣れる前に習いたく」なるものです。
多分、一度は脳で理解しないと身体が動かないためだと思います。
それは五感と反射の鈍化が理由でしょうか。
そんなことを最近感じているので、なんとなくできてしまっていることを、あえて言葉にしてみました。
これだけ読んでもよくわからない内容も多いと思います。
私と全く違う考え方で上手な方、強い方もたくさんいます。
谷川岳周辺のいろいろな氷瀑
錫杖岳周辺のいろいろな氷瀑