尾白川アイスクライミング技術講習

アイスクライミングには基本となる「型」があります。

アイスクライミングとフリークライミングの動作を比較した時の最大の違いは、フリークライミングは常にホールドを限定されますが、アイスクライミングは任意の場所にハンドホールド及びフットホールドを設定できるという点です。

つまり、どこにでもアックスを決めることができ、どこにでも足を置くことができます。

これは両者が全く異なるアクティビティであることを示しています。

一見すると似ているようですが、体の動きに関して実は関連性はほとんどないような気がします。

どこでも任意にホールドを作れますが、しかし手足を決める場所に一貫性を欠いてしまうと、手足の位置が左右バラバラになります。

そうなると膝関節の高さが異なることで腰が氷から離れてしまい、片方の膝が氷に当たって窮屈な姿勢になり、肩が氷から離れることで、良いスイングができなくなります。

腰が氷から離れている状態では、アックスの石突側が氷から離れてしまうので、スイングの円心力が氷に伝わりません。

これを逆に言えば、ある一定の「型」さえ習得してしまえばムーブは非常に簡単です。

というか90度までのアイスクライミングであれば、フリークライミングで言うところのムーブというものは存在しません。

単純に持久力があるかどうかであり、あとは傾斜とラインを読む目、そして氷質の判断がカギになります。


伸び悩みを感じている方がおりましたら、この「型」さえ学べば一気にレベルアップできるのではないかと考えています。
標高の高くない尾白川流域では、積雪も少なく気温もそこまで低くないので、集中して講習できます。
また下地となる岩の形状が70〜80度のスラブ状で、そこに常に水が流れているので、いわゆる面ツルな、フラットな氷面が形成されやすいです。

なので足の置き方にごまかしが効きませんので、講習には最適だと考えています。

八ヶ岳によくあるような、多くの人に登られてボコボコになってしまった氷ではありません。

氷の表面に凹凸があればあるほどフットホールドがあちこちに散在しているために「型」は乱れ、易しい岩登り的な感じでなんとなく登れてしまう、登れた気になってしまうものです。

これでは公式が当てはめられない数学の練習問題のようなもので、登る者に「型」を染み込ませにくいと言えます。


対象
アイスクライミング初心者〜中級者の方で、八ヶ岳南沢大滝、大同心大滝などでリードクライミングを目指す方
または米子不動などで本格的なマルチピッチを目指す方
リードクライマーのビレイを正しい技術でできる方

開催日
12月〜3月
日程は平日を中心に応相談、お問い合わせ下さい。

開催場所
主に尾白川流域

米子不動周辺

ときどき西上州周辺

集合時間(尾白川の場合)

朝8時 道の駅白州
または
朝9時 小淵沢駅

料金
 1名様あたり 25000円
定員2名まで
1名様でも実施します

内容
トップロープでのクライミングを中心に、アイスクライミングの「型」や、安定したリード技術の習得を目指します。
30m程度の大きな滝のため声が届かないことも多いので、小型無線機を使ってレクチャーします。(通信はガイドからの一方通行になります)

必要装備
アイスクライミング用シューズ
雪山用ウェア
クライミングハーネス
ヘルメット
アイスアックス(レンタル可能)
アイスクライミング用縦爪クランポン(レンタル可能)
安全環付きカラビナ3枚
確保器具(ペツルのルベルソなど)1個
アイスクライミング用スクリューラック(ペツルのキャリツールエボなど)1個
行動食
暖かい飲み物
林道歩き用アプローチシューズ
チェーンスパイク(アプローチ急斜面用)

申し込み要項
以下の必要な要項を、以下の成田宛てにご連絡ください。
naritakenji0305@gmail.com
折り返し確認のメールを差し上げます。
住所、氏名、生年月日
緊急時連絡先とその続柄
登山経験
クライミング経験
山岳保険の有無

講習内容
ダイアゴナル(対角線)の考え方
いわゆる二等辺三角形姿勢の考え方
右手アックスの鉛直線下に左足クランポンがあることの重要性
クランポンの2列目の爪の重要性
2列目の爪をインエッジで使うかアウトエッジで使うかのパターン
踵を下げてクランポンの爪の「カエシ」を効かせること
足のクロスムーブの重要性(左足の左に右足を置くこと、その逆)
クランポンの爪が効く音とワイヤーベールが氷に当たってる音、靴が氷に当たってる音の違い
腰を氷につけて弓なりの姿勢になること
状態を起こして肘を伸ばすことの重要性
アックスの爪痕にクランポンを置くこと
クランポンが安定したと感じる瞬間の理解
レストのタイミングとその姿勢
スクリューを決めるタイミングと位置について
クイックドローの向きとラッキング方法
トップロープを張るときの注意点
ダブルロープでトップロープを張らざるを得ないときの注意点(結び目の存在、本来は行うべきではない、講習はシングルロープで行います)
トップロープ時の振られ止めの設置について
スクリューだけでトップロープをするときの方法
V字スレッドの最も早い作り方とその手順及び推奨される捨てロープ径(右利き、左利き)
V字スレッドでの懸垂下降時のバックアップの設置とその考え方
氷質の判断(硬さ、脆さ、湿度と気温の影響について)
過去の墜落事故の具体例研究

と色々と書き連ねましたが、どれも感覚的にできる人はさほど考えなくてもできることですので、あえて言うほどのことでもありません。

「習うより慣れろ」です。私もそうでした。

しかし歳を取ると、「慣れる前に習いたく」なるものです。

多分、一度は脳で理解しないと身体が動かないためだと思います。

それは五感と反射の鈍化が理由でしょうか。

そんなことを最近感じているので、なんとなくできてしまっていることを、あえて言葉にしてみました。

これだけ読んでもよくわからない内容も多いと思います。

私と全く違う考え方で上手な方、強い方もたくさんいます。

ガイドのアイスクライミング略歴
甲斐駒ヶ岳周辺のほとんどの氷瀑
米子不動のほとんどの氷瀑
Canada Banff周辺など